Mr.Legend

オーストラリアを代表するサーフボードのレジェンドシェイパー Mr.Dick Van Straalenに会う事ができました。実際のところは、同氏にお会いするのはオプション的に考えていて、ファクトリーに行ったらストックボードがあって「お気に入りの一枚」に出会えるかな!?というのが一番の目的でした。(※誤解のないように付け加えると、同氏に会えたらラッキー!!本当にラッキー!!という意味でのオプションです。)

小さなファクトリーには、ストックボードはありませんでした。あまりにシンプルな建物に、「あれ?ここは物置?」と思いながらキョロキョロ見ていたら、防塵マスクをした老人が「ヨウッ!」と言わんばかりに片手を上げてシェイプルームから出て来ました。「本人だ!!」と年甲斐もなくテンションが上がりつつ、「ここにストックボードはありますか?Mr.Straalenの作る板の美しさに感動して、自分にとって最高の一枚を探しに来たのです。」と伝えました。「お前はあとどのくらいゴールドコーストにいるんだ?」と聞かれたので、1週間だと伝えたところ、「お前のために削ってやるには時間が足りないな。俺の板を一番扱っている店に電話してやるから今から見に行ってごらん。」と同氏。「あぁ、あと1ヶ月くらい延泊したい!!!」と心の中で叫びつつ、お礼を伝えて握手してお別れしました。仕事中ですし。

サーフィン、特にクラシックに興味のない方にとっては、「この人、何熱くなってるの?」という感じかと思います。最近では、コンピューターを使ったマシンシェイプが主流で、最後の仕上げなどを人の手で行います。その方が品質も安定しますし、過去の膨大なサーフボードのテンプレートデータの組み合わせなどで、新しい板も簡単に作る事ができます。しかし、同氏は今でもオールハンドメイド。通常は板の長さ、幅、厚み、リットルの記載がありますが、同氏の板には長さとモデル名と作成日が記載されています。他の方の話ですと、「数値のみで板の良し悪しを判断される事が嫌い。手に取ってフィーリングで決めて欲しい。」という事だそうです。

た ま り ま せ ん

マシンシェイプの板は、いわゆる量産品なので私にとっても消耗品です。使い倒すにしろ、ちょっと違うなと感じて手放すにしろ、思い入れのないものです。佇まいに醸し出すものもないですし。。。ところが、不思議なことにシェイパーの手で作られた板の中には、ボロボロになってても佇まいに醸し出すものがあります。(そういう板にはクセモノが多い気がしますが。。。笑)扱いがとても難しかったり、自分の手には負えない板でも手放す気になれず、たまに持ち出して海に入りたくなる。そして家の中で飾ってみると、眺めながらご飯5杯は食べれる!!そんな気持ちになります。

Mr.Dick Van Straalenは、1944年生まれの74歳、シェイパー歴60年。いつまで現役でサーフボードを作り続けるのだろうか。このレジェンドシェイパーの板を一枚、どうしても欲しくて同氏に教えて頂いたボードショップへ車を走らせました。「あと1ヶ月延泊したい。。。」と心の中で念仏のように唱えながら。笑

そして手に入れた、人生で手放す事のない一枚がこの板です。既に進水式は済ませましたが、ワックスオン前にパシャリ。